概要 / Overview
ワイン生産地域は冷涼な気候なので、ブドウが完熟することは稀であり、生産者は糖度の高い甘口・白ワインの生産に注力してきました。従って、ドイツワイン=甘口という印象がありましたが、現在は生産量の約7割が辛口ワインです。栽培地域の多くは河川付近の斜面に密集しています。太陽の光が川に反射し、ブドウの成熟を助けると共に、川が夜間の保温効果をもたらします。ドイツの代表品種はリースリングです。
主な産地 / Major Wine Production Region
ラインヘッセン地方 / Rheinhessen
【特徴/Features】
ドイツの13地域の中で最大の栽培地域を誇っています。「千の丘の国」と呼ばれるほど、ドイツ国内において森林面積が最も少なく、なだらかな丘陵が広がる地域です。コスパが高いワインが多く造られており、多種多様な土壌と穏やかな酸味で飲みやすいことから、この地のワインは「女性の酒」と呼ばれます。また、ヴォルムスの聖母教会の修道士が造ったと言われる甘口ワイン「リープフラウミルヒ」で有名になった産地でもあります。
モーゼル地方 / Mosel
【特徴/Features】
リースリングの銘醸地としてその名を馳せています。日本人にとって最も聞き覚えのある産地はモーゼルではないでしょうか。蛇行するモーゼル川の流れに沿って様々に向きを変え、急斜面に太陽の恵みを一身に受けるブドウ畑が広がります。ドイツで最も古い産地であり、平均斜度30度以上という断崖絶壁の急斜面に古代ローマ人がブドウを植えたことに改めて感心します。勾配は日中に熱を蓄え、夜に放射するので過度の冷却を防ぐためブドウ栽培に適しています。
ラインガウ地方 / Rheingau
【特徴/Features】
名前を聞いただけでも、ライン川の恵みを存分に享受している地域であることが想像出来ます。川面からの反射光と蓄熱でブドウ栽培にはベストな環境から、高貴なワインを生み出す生産地として有名です。カール大帝が当地の雪解けの早さから、その暖かさを知り、ブドウ栽培を奨励しました。リースリングが栽培面積の90%を占めています。貴腐ワインは、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイと並ぶ世界三大貴腐ワインの一つです。